オーストラリアに短期ホームステイをしたなぎさみさん(東京都在住 女性)の体験談
国 :オーストラリア メルボルン
期間:1カ月半
目的:海外インターンシップ参加
夢のホームステイ体験に申し込み
オーストラリアでのホームステイを経験したのは、大学3年生の夏休みです。
滞在期間は1カ月半。
就職活動が始まる前に、視野を広げたい!
と思い、大学の海外インターンシッププログラムに参加しました。
しかし、このプログラムに申し込んだのは、就活のためだけではありません。
子どもの頃から海外に興味があった私は、海外ドラマのような欧米の生活に強い憧れがあったのです。
大きなベッドに、明るい家族と会話など…
ホームステイを経験したかったのです。
大学生で最後に自由に使える時間を使って、そんな夢のような世界に飛び込みたい!と思い、参加を決意しました。
一方で不安もあった
短期留学プログラムに申し込んでからは、毎日ワクワクしながら夢のホームステイを描いていましたが、
当時はTOEICスコア400程度の英語力だったので、
ホストファミリーと良好な関係を築けるだろうか?
という不安も隣り合わせでした。
自己紹介を英語で何度も練習してみたり、
会話のきっかけになりそうな日本からのお土産を探してみたり…
ワクワク半分、ドキドキ半分で渡航前の時間を過ごしていました。
問題は英語力ではなかった!
そうして、ついに日本を出発し、ホストファミリーとの初対面の瞬間です。
私のホストマザーとファーザーはとても仲が良く、子どもはおらず犬との3人暮らしの家庭でした。
事前に練習した自己紹介と、お土産や日本の話で、つかみはOK!
その後しばらくも、コミュニケーションを取る上で、心配していた英語力は全く問題になりませんでした。
ファミリーや現地の人は、私が聞き取れなければ、速度や言葉を変えて何度も伝えようとしてくれたし、
ネイティブの人達は、私の発音や語彙力の至らないカタコトの英語でも理解してくれたのです。
ファミリーと英語で会話をするのは、カタコトながらとても楽しいものでした。
ステイ先に向かう車の中でも話題は尽きず、夢のホームステイが実現できた!と思いました。
価値観の違いに戸惑う
ですが私は、英会話以上に、慣れないことがありました。
それは、ファミリーがとてもハッキリと意見を主張すること。
もちろん、出会ったばかりの私達がこれから共同生活を送るのだから、ルールやマナーはお互いきちんと守らなければなりません。
ですが、日常のちょっとした入れ違いや勘違いで、ルールを教えて貰う時も、
怒られている、批判されているように聞こえ、最初はとてもショックでした。
英語のネイティブスピーカーは、腹式呼吸で声も大きい方も多いので、余計にそう聞こえてしまったのかもしれませんが…。
日本人の「遠慮」や「察する」文化で育ってきた私にとっては、今まで当たり前だと思っていたコミュニケーションが当たり前ではないことを目の当たりにした瞬間でした。
そうは言っても、今までの当たり前の習慣を、急に捨て去ることはできません。
年上のマザーとファーザーに自分の意見や要望をストレートに言うことは、失礼なことだ
という日本での自分の価値観から離れられずにいました。
食習慣も…
また、食事の習慣の違いも、とても印象的な出来事がありました。
初めてマザーとファーザーと3人でテーブルを囲んだ時のこと。
マザーから、
「ここはオーストラリアなの。
量が多かったり、好きじゃなければ、あなたはご飯は残してもいいのよ。」
と、食べる前に3回も言われたのです。
(以前に日本人留学生を受け入れたことがあるらしく、日本のマナーもよく知っている家庭でした。)
マザーの食文化の違いを気遣ってくれた言葉に感謝しつつも、
わざわざ用意してくれた食事を残すなんてあり得ない!と心の中で葛藤してしまいました。
日本人なら殆どの人が同じように思うのでしょうが、
私はマザーのこの思いやりの言葉と、現地での食習慣を素直に受け入れられなかったことに、罪悪感を持ってしまったのです。
ファミリーの言葉で気付いたこと
オーストラリアに来ているのに、彼らの価値観を受け入れられない自分のことが、とても嫌に感じました。
ですが、そんな私の考え方を変えたのは、ファーザーのある3語の口癖でした。
ホストマザーはオーストラリア人でしたが、ファーザーはアメリカ人の移民です。
ファーザーとは、日本とオーストラリアの違いの話もよくしましたが、アメリカとの違いもよく教えてくれました。
そんな彼の口癖は、
“Here in Australia,~.”
(ここオーストラリアでは~)
滞在中、1日1回はファーザーから聞いていた台詞です。
ファーザーとたくさんお話するうちに、
ファーザー自身も、生まれ育った国と今過ごしている国の違いをよく感じ、その違いを楽しんでいる人なのだと、私は気付きました。
そう気付いてから私も、文化の違いに困惑するのではなく、挑戦してみて楽しもう!と思えるようになったのです。
そして、マザーの「オーストラリアでは食事を残しても良い」という言葉も、受け入れて認められるようになりました。
意識的に使ったワード
ここはオーストラリアなのだから、その文化や習慣を尊重したふるまいをしよう!と思えるようになったのです。
そして、自分の意見もしっかりと伝えられるようになろうと決意しました。
意識的に使った主語と動詞は、
- I like(私は好きです)
- I want to(私はこうしたいです)
- I think (私はこう思うんです)
この3つ。
私がこの言葉で何か言うと、マザーもファーザーも嬉しそうに、
“OK!”や、“Me too!”
などと返してくれるようになりました。
日本で重んじられている「遠慮」や「察する」ことはここでは無用。
なぜなら、他民族が入り混じったこの国では、文化的背景が異なる者同士きちんと伝えあうことが誠意だと気付いたからです。
自分でも、意見や主張の言葉をしっかりと発するようになってからは、ファミリーの言葉に傷つくこともなくなりました。
ファミリーとたくさんの時間を共有
私のホストファミリーは、色々な国の文化に興味を持ち、挑戦している人達でした。
その姿は、私の滞在中の過ごし方にも大きく影響しています。
一番うれしかったことは、
私が和食が恋しくなってきた頃に、ファーザーがアジアンショップから納豆を買ってきて一緒に食べてくれたことでした!
マザーもファーザーも、和食は好きだと言ってくれ、日本の文化を楽しんで大切にしてくれる姿に私はとても感激したのです。
そこから私は、自分と異なる価値観を受け入れてみることの大切さを教わりました。
滞在中は、カンガルー肉やラビット肉、日本では苦手だったラム肉も食べてみたり、
今まで興味の無かったアクティビティやアウトドアにも、ファミリーが行くと言えば、付いていきました。
TOEIC400でも、尽きない話題!
大学の短期留学プログラムだったので、他に日本人も20名ほどいましたが、
私は休日も、なるべくマザーとファーザーと一緒に過ごすようにしていました。
2人とは本当に沢山のことを話しました。
恋愛やファッションの話から、いじめなど社会問題の話題まで、あれこれ議論したり、笑わせあったり。
言葉だけでなく、身振り手振りや表情と、少しのユーモアを交えて話すのです。
大切なのは、語彙力やリスニング力、スピーキング力ではなく、相手を理解して、違いを尊重する姿勢でした。
私のつたない英語に付き合い続けてくれたマザーとファーザーには、感謝しきれません。
まとめ
このオーストラリアでのホームステイ経験は、私の人生で最高の経験になりました。
英語力はあるに越したことないですが、それ以上に、自分の考えと行動次第でファミリーとの人間関係は変わってくると思います。
私は、ファミリーから大切なことを沢山学びました。
まとめると、
- ホームステイに英語力はそんなに重要ではないこと
- 意見や主張をすることは悪いことではなく、大切なこと
- 相手の持つ文化や習慣を認め合うこと
- 新しい価値観を受け入れて挑戦してみること
まさに、「郷に入っては郷に従え」ということを身をもって体感しました。
帰国して何年経っても、新しいことにチャレンジする精神は忘れていません!
海外ホームステイは、英語力が不安という方や、何か成長を求めている方にも、ぜひ経験してほしいと思いました。
成長はすべて自分次第で、ファミリーとの人間関係も、沢山の学びも得られます!
コメントを残す