英語独特の言い回しをことわざから学んでみよう
英語のなかに、
日本語を英語に直訳するのでは到底思いつかないような、独特の言い回しがあることは、
英語の勉強をしている方ならきっと実感済みですよね。
たとえば、相手に意見を聞くときに使う
「How does that sound ?(どう思われますか?)」
直訳すると「あなたにはどう聴こえますか?」となりますが、
ここでは「あなたにはどう響きましたか?=どう思われますか?」という解釈になります。
他にも、
「play it by ear」=成り行きに任せる、出たとこ勝負でいこう
直訳:楽譜を見ないで即興で演奏する(耳できいて演奏する)
「I will sleep on it」=考えておくよ(保留にさせて)
直訳:一晩考えさせて
このような表現と解釈の違い、ことわざを見てみるとより顕著にわかるんです。
この記事では、日本でよく使われることわざが、世界ではどんな風に表現されているのか、楽しく紹介していきたいと思います♪
最後にはクイズも用意しているので、ぜひチャレンジしてみてくださいね!
ことわざは世界共通の文化
ことわざは日本特有の文化と思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、
実はことわざは世界共通
英語では、proverb(ことわざ、格言)と言います。
そしてことわざは一般的に、教訓や知識・経験の共有の意味を持ち、
それぞれの地域の特色や国民性を反映させながら、長い時間をかけてできあがったもの。
そんな背景があるからこそ、
各国においてことわざは、大きな影響力を持つ教訓として、
国民性を形作るのに一役買っているともいえそうですね。
それでは早速、各国のことわざを見ていきましょう。
日本と同じ意味のことわざ
覆水盆に返らず
厳密には中国のことわざ「覆水難收」からきたもので、
「一度起こってしまったことは二度と元に戻らない」
日本でもかなり知られたことわざですよね。
英語では、
「It is no use crying over spilt milk.」
(こぼれたミルクについて泣いても無駄である)
ことわざ自体の体裁も日本語と似ているので、理解しやすいことわざなんじゃないでしょうか。
起きてしまったマイナスな出来事を嘆く心情は、どの国でも共通なんですね。
泣きっ面に蜂
日本では、不幸や不運が重なったときによく使われる言葉ですね。
これを英語にすると
「When it rains、it pours.」
(降れば土砂降り)
雨が降ってきた上に土砂降りときた(悪いことばかりだ)、というニュアンスで使われます。
そして面白いのがスペイン語
「Al perro flaco no le faltan pulgas.」
(痩せ犬にノミがたかる)
なんともかわいそうな表現ですね(笑)
スペインでは、「犬(perro,perra)」を慣用句的に使うときは
「ろくでなし、怠け者、忠実な部下」という意味合いで使われることが多く、
あまり良い表現で使われることはないそうです。
「vida perra(みじめな生活、最悪の人生)」という言葉もあります。
スペイン人はペットに犬を選ぶ人が多いはずなのですが……不思議ですね(笑)
取らぬ狸の皮算用
手に入るかどうかもわからない不確かなものに期待をかけて、ああだこうだと計画をねること
のたとえとして使われるこのことわざです。
英語では
「Don’t count your chickens before they are hatched.」
(卵かかえる前にひなを数えるな)
また、韓国では
「떡방아소리 듣고 김칫국 찾는다」
(餅つきの音聞いてキムチ汁探す)
日本では昔話にもたぬきがよく出てきますよね。日本人にとってお馴染みの動物です。
アメリカでは卵料理や鶏肉を使った料理が多くありますし、
韓国もキムチや餅が引用されるなど、
このことわざには各国の文化がよく表れています。
日本のことわざと真逆!?国民性の違いがみえることわざ
転がる石には苔は生えぬ
落ち着きなく動き回っている者に能力は身につかない、
という意味で使われる言葉ですね。
これ、僕も知らなかったのですが、元はイギリスのことわざなんだそう。
英語では
「A rolling stone gathers no moss.」
(転がる石はコケむさない)
発生の地イギリスはもちろん、同じく英語を使うアメリカにもこの言葉は存在します。
しかし面白いのは、このことわざの解釈が両国で違うということ。
イギリスでは日本と同じ、どちらかというとマイナスの、教訓的なことわざとして使われており、
「仕事や住まいを転々としている人は、金もたまらないし友人もできない」
という意味合いで使われます。
一方アメリカでは
「いつも活動的に動き回っている人は持っている能力を錆び付かせることはない」
というポジティブなことわざとして使われるんだとか。
これは苔を良い意味(能力)としてとらえるか、悪い意味(汚れ、さび)ととらえるかの違い
といえそうですが、かなり興味深い違いです。
日本人やイギリス人は、どちらかというと保守的な国民性といわれていますし、
その違いが表れているのかもしれませんね。
今日の卵は明日の鶏に勝る
Meglio un uovo oggi che una gallina domani
(今日の卵は明日の鶏に勝る)
これはイタリアのことわざで、日本には同じ意味のことわざはありません。
明日まで待って手に入れる鶏よりも、今日取れる卵の方が価値がある、ということから
「将来の大きな得よりも、目の前の小さな得をとれ」という意味です。
日本の「辛抱する木に金がなる」「石の上にも三年」などと真逆の考え方といえそうです。
楽観的なイタリアらしい、素敵なことわざですね。
英語だと
「Better an egg today than a hen tomorrow.」
となります。
このことわざの意味、わかりますか?
では、ここからはクイズ形式でご紹介していきたいと思います。
英語が身についてきた方はぜひ、ヒントを読まずに英文から考えてみてください!
Q1.「When you are in Rome do as the Romans do.」
その土地や環境に入ったならば、そこの習慣に従うのが賢い生き方である、ということわざです。
ローマという具体的な地名を用いる点が、昔からローマが憧れの地であったことを表していて面白いですね。
Q2.The early bird catches a worm.
直訳:朝早い鳥は虫を捕まえる
早起きしたら良いことがある、というのは万国共通の教訓なんですね。
日本ではことわざの軸が人間であることがほどんどですが、英語ではこのように動物に例えたことわざを多く見ます。
Q3.No pain, no gain.
直訳:痛みなくして得るものはなし
日本よりかなりシンプルな言い回しです。
ビジネスシーンでも使われそうなカッコイイことわざですね!
Q4.Don’t teach your grandmother to suck eggs.
直訳:祖母に卵の扱い方を教えるな
こちらの方がシンプルですが、面白みに欠けるような感じがしますね。
なので、僕は Don’t teach your grandmother to suck eggs. の方が好きです
Q5.Bread is better than the songs of birds.
直訳:鳥の歌よりもパンの方が良い
またしても鳥を使ったことわざ。芸術より食べ物が優先!という心も万国共通です。
おまけ
以下のことわざの○○○には何が入るかわかりますか?
Q6.喉の渇きを○○○で取る
(余計なことをして事態を悪化させること。イタリアのことわざ)
正解は・・・・
喉が渇いているのに塩家の強い生ハムを食べたら、余計にのどが渇きますよね。
転じて、余計なことをして事態を悪化させること、の意味で使います。
日本だと「火に油を注ぐ」ですね。
英語だと、「Fan the flame[火を仰ぐ(扇で煽って火を大きくする)]」となりますから日本語と似ています。
しかし、まさか生ハムがことわざに使われるなんてびっくりですね。笑
「耳に生ハムを貼る(相手の話を聞かない、聞こえないふりをする)」があります。
イタリアらしさが全面に出たことわざでした!
まとめ
さて、英語を中心に、様々な国のことわざをご紹介してきましたが、いかがでしたか?
日本のことわざと同じ意味のことわざが各国にあるというだけで、なんだか世界を身近に感じますよね。
最後にこの記事について簡単にまとめてみます。
・ことわざは世界共通の文化!それぞれの国の特徴がよく見える
・日本にはないことわざも!ことわざは各国の国民性を表す
・食文化はことわざに如実に表れる!
ことわざを日常会話の中でさらっと言えたり、
ジョークを理解し気の利いた答えを返せる人のことを「ウィット(wit)に富んでいる」と高く評価することがあります。
ことわざのようなちょっとユニークな言い回しを覚えて、
ぜひ「ウィットに富んだ」人を目指してみてください!
直訳:ローマに行ったらローマ人のするようにしなさい