海外への移住が、必ずしも自分の意思とは限らないですよね。
例えば海外赴任で、家族ともども海外へ…なんて場合も。
もちろん、それを好機ととらえて、
早いうちから子供に英語を覚えさせよう!とポジティブに考える方もいるかもしれませんね。
ドキドキ、ウキウキな気分のままに、移住の準備をするのも良いですが、
ちょっと待ってください。
海外の学校は9月始まり、なんて聞いたことありませんか?
あまり半端な時期に入学してしまうと、
すぐにクラス替えになってしまってなかなか友達がつくれない……なんて可能性もありそうです。
大切なお子さんに素敵なスクールライフを送らせてあげられるように、
この記事では移住する前に知っておきたい学校事情を
日本人の移住先としても人気のアメリカをメインにお伝えしたいと思います♪
学校の種類と義務教育
まず押さえておきたいのが義務教育の年数ですよね。
日本では小学校~中学校までの9年間が義務教育とされていますが、実際のところは高校まで通う人がほとんどです。
ちなみに、高校1年間にかかる学費は公立で約50万円、私立で約100万といわれています。
一方アメリカはというと、幼稚園 年長・小・中・高校の13年間が義務教育。
日本でもほとんどの人が高校を卒業することを考えると、高校までを義務教育とするアメリカの12年の制度はかなり羨ましいところですよね。
また、日本では小・中・高に入学するごとに1年生から始まりますが、
アメリカでは小学校から高校までの12年間を総じて『グレード(grade)』とカウントします。
導入編はこのあたりにして、次からは義務教育の区切りごとに詳しく見ていきましょう♪
Elementary School(小学校)
年齢と学校年度
アメリカでは、小学校が始まる前、日本で言う年長に当たる5~6歳から義務教育が始まります。この1年間がKindergartenです。
Kindergartenを日本語訳すると「幼稚園」となりますが、Kindergartenはこの1年間のみを指すため、厳密には日本の幼稚園とは異なります。
5歳より小さい子供が通うのはPre-school(保育園、年少・年長)と呼び、義務教育ではありません。
つまり、日本より1年早く義務教育が始まるということです。
7歳になる年からはElementary School、日本でいうところの小学校へ通います。
ここで気になるのは各国の年齢・学年の数え方、考え方。
日本の学校年度は4月からなので、4月1日~3月31日生まれが同級生となりますが、アメリカでは学校年度は9月開始
したがって、9月1日~8月31日生まれが同級生となるのです。
また、学校年度の開始月は国によって違います。
海外だから9月始まり、というわけではありませんので、しっかり調べましょうね。
参考までに、主要な国の学校年度をメモしておきます。
国名 | 学校年度 |
日本 | 4月 |
アメリカ・カナダ | 9月 |
イギリス・フランス・イタリア | 9月 |
オーストラリア・ニュージーランド | 1月 |
韓国 | 3月 ※学年を分けるときは1~12月生まれが同学年 |
中国 | 9月 |
日本と同じアジア圏の韓国・中国も日本とは異なり、興味深いですね。
学期制、規則
まず学期制ですが、一般的には日本と同じ3学期制です。
ただし春・夏・冬休みの時期は違います。
- 夏休み(学年が切り替わる間の休み)…6月中旬~9月(約2か月)
- クリスマス休暇 …クリスマス(12/25)~2週間(1/8頃)
- イースター休暇 …イースターの前後。3~4日の休暇。
※イースターは春分の日の後の、最初の満月の日の翌日曜日(4月中旬) - Spring Break(春休み)、Fall Break(秋休み) …4日程度の季節休み。
- Thanksgiving Recess(感謝祭) …11月の第4木曜日から4日間
上記は連休なので、1日単位での休日を加えるともっとありますが、ざっと見ただけでもかなり多いことがわかりますね。
そう、アメリカは日本に比べて登校日数が少ないんです!
日本の登校日数が年間190~205日程度のところ、アメリカでは180日
羨ましい半面、それで勉強時間は足りるのか不安になりそうですが、夏の長期休暇中にはイヤーランド・スクールという登校日があるそうですよ。
授業や教育方針
3年生までを低学年と位置付けており、この期間は宿題も少なく、社会性や集団生活を学ぶことを主軸にカリキュラムが組まれています。
4年生以降は高学年。宿題が増え、内容もアカデミックになり、Middle School(中学校)への準備段階に入っていきます。
そしてアメリカの小学校の教育方針で、日本と比べて特徴的なのは、
- 親や先生と距離が近いこと
- 学校行事が多いこと
- 主体性を身につけさせる教育方針であること
まず、アメリカでは学校までの送り迎えは親が行います。
スクールバスのある学校もありますが、基本的には学校の行き帰りが親子のコミュニケーションの場になっているようです。
また、学校行事やボランティアも親が参加できるものが多く、遠足に親が同行できるなど、学校での子供の様子をよく知ることができます。これは親としても安心ですよね。
ハロウィンには先生も児童も一緒に仮装をして学校をパレードしたり、パジャマデイという日には、先生も児童もパジャマで登校します。
そして、主体性を身につけさせる授業・取り組みのひとつに、
呼んだ本のストーリー、感想をクラスで発表する、というものがあるそうです。
欧米人の堂々としたふるまいは、幼少期からのこのような授業の成果もあるのかもしれませんね。
Middle School(中学校)
学区の方針によっては Junior High Schoolと呼ぶところもあるようですが、
いずれにせよ、High School (高校)までの準備期間として、より自主性や個性を身につける場としてとらえられています。
年齢と学年
中学校にあたるMiddle Schoolは11歳(6th grade)~14歳(8th grade)までの3年間となります。
日本では12歳~15歳が中学生ですから、アメリカの方が1年早く進学していく仕組みです。
そして冒頭でもお話ししたように、アメリカでは小学校ー高校までの学年を一貫して『grade(グレード)』で表現します。
つまり、Middle School1年目は『6th grade』
…これだけ聞くと6年生と勘違いしてしまいそうですね(義務教育6年生という意味では合っていますが!笑)
授業
Middle Schoolでは、生徒たちが授業の度に教室移動をします。
日本では、基礎科目(国数理社)の授業においては先生が教室に来てくれることがほとんど。
音楽や体育などの技術・芸術系科目のみ、専用の教室に移動していますよね。
アメリカでこの方針を取っているのは、生徒たちの自主性を高めるためなんだとか。
何時までに移動しなくてはならない、など自分で把握したうえで行動するので、自己管理能力も養われるそうです。
また、基礎科目以外に自分で選べる選択科目も多いです。
その多くがパワーポイントを使って発表したり、プロジェクト形式で課題を作成、レポートを提出するような授業が多いという特徴があります。
さらに、答えが合っているかどうかよりも『どう考えたか』に重きを置いた教育方針のため、意見は一旦すべて受け入れる、というスタンスが先生にも生徒にも備わっています。
個性を大切に、自己肯定感や自主性を高め成長することのできるアメリカで幼少期を過ごせることは、とても素敵なことに感じますね。
部活
日本では中学から部活が始まりますが、アメリカでもそれは同じ様です(小学校時代は習い事でスポーツやピアノなどをする、というのも日本と同じです!)
しかし、1年を通じて部活動があるわけではなく、特に運動部はシーズン毎の活動になります。
入部は自由ですが、部によっては入部の際にテストがあり、成績が悪いと入れない、ということもあるんだとか…。
結果重視なアメリカらしいといえばらしいですが、ちょっとさみしい気もしますね。
また、文化系の部活も幅広く、エコについて考えるというボランティア精神に富んだ部活もあれば、アニメを見るだけのゆるい部活もあるそうです。
多様性を受け入れる、こちらもアメリカらしさの伺える部活動ですね。
部活に入らずに習い事を続けるパターンも珍しくないようです。
進学
日本では、中学3年生になるとこの言葉がつきまとってきますよね。
- 公立に行くか、私立にいくか
- どの学校を目指すか
- 行きたい学校へ行くためにはあといくつ偏差値を上げなくてはいけないのか…
アメリカでは、高校まで義務教育のため、高校入試というものがありません。
したがって中学と同じように、基本的には自分の学区内の高校に行くことになるんです。
これは羨ましい…!
High School(高校)
年齢と学年
日本の高校にあたるHigh Schoolは14歳(9th grade)~18歳(12th grade)の義務教育です。
16歳からは運転免許が取得できるので、High Schoolでは自分の車を運転して通学する生徒が現れ始めます。
高校1年生から ” ~th grade ”以外に別の呼び方もします。
高校1年生 | 9th grade | Freshman |
高校2年生 | 10 th grade | Sophomore |
高校3年生 | 11 th grade | Junior |
高校4年生 | 12 th grade | Senior |
大学生でも 1年生を Freshman、4年生を Senior と呼びます。
授業
Middle Schoolから培ってきた、自分の意見を人に伝えるスキルをさらに高めるため、プレゼンテーションなどが組み込まれた授業が相変わらず多いです。
必須課目『国数理社』に『政治』『経済』が追加されるという変化もあります。
そして、ひとつ注意しなくてはならないのが単位
義務教育とはいえ、日本と同じくアメリカの高校は単位制です。
4年制の大学へ進学を考えているなら、希望する大学の出願要件を満たす科目を受講し、単位を取らなくてはなりません。
つまり、卒業に必要な単位だけでは不十分ということです。
その大学が求める要件となる科目を取得する必要があるので、科目選びは慎重に行う必要があります。
日本では学級制、学年制もあわせてあるため滅多に飛び級は起こりません。
アメリカの高校は大学の様に、必要単位を取得できれば卒業もとび級もできます。
反対に、単位を落としてしまえば留年というわけです…
進学
High School最終学年(12th grade)にもなると、大学入試に向けて動き出さなくてはなりません。
時期はもちろん、大学進学の準備においてもアメリカと日本では違うので要注意です。
まず、日本と大きく違うのが入学要件
日本ではもっぱら入試テストの結果で決まってきます。センター試験のような全国一斉試験もありますよね。
高校の成績が全く関係ないわけではありませんが、基本的には試験の結果次第、というところです。
一方アメリカでは一斉試験がありません!
学力テストを要件に課している大学もありますが、学力テストの結果よりもHigh Schoolの学業成績や推薦状、願書の内容、小論文などを合否の判定材料とし、バランス良く評価される特徴があります。
↓↓入学が決まるまでのスケジュール↓↓
- 願書提出 …義務教育最終年(12th grade)の前期(11月~2月)
- 合否結果通知 …入学年の3月か4月
センター試験をはじめとする様々な試験が挟まれる日本の入試システムよりシンプルです。
High School時代どれだけ頑張ってきたか、が大学入学の要となってきます。
青春を謳歌するのはもちろん大切ですが、勉強をおろそかにしないようにしたいですね。
編入手続きについて
最後に、日本からアメリカの義務教育課程へ編入する際に必要な手続きについてご説明しておきます。何事もそうですが、まずは編入先の情報を調べることが不可欠です。
移住先が決まったら、その学区内のどの学校に自分の子供を通わせるか、しっかりと確認をしましょう。学校によって教育方針が違う場合もありますので、余裕があれば比較をしてみるといいかもしれませんね。
そして、編入先の学校に目星がついたら、転入に必要な書類を確認します。
- 申込書
- 予防接種証明書
…ほとんどの場合、日本で受けた分だけでは足りないので、アメリカで追加で受ける必要があります - 親・子(編入する本人)の身分証明書
…パスポートでOK - 居住を証明するもの
…水道・ガスなどライフラインの請求書など - 入学願書
…学校のHPからダウンロードできます
なお、場合によっては希望した学校とは別の学校に割り当てられてしまうこともあるそうなので、注意が必要です。
まとめ
メディアでも、日本人とアメリカ人の性格はしばしば比較され、文化の違いについて議論されますが、その文化の違いは、経験してきた義務教育の課程の違いでもあるのかもしれませんね。
個人を尊重し、主体性を身につけさせる
この一貫した教育方針は、受け身型の日本の授業とは真逆のように感じます。
お子さんに主体性をつけたい!という親御さんにはかなり魅力的なんじゃないでしょうか。
- アメリカの義務教育は12年間!学年は12年間通してgradeで表記
- 義務教育のスタートは5歳、Kindergartenから
- 小学校にあたるElementary Schoolは5年間。親も子供も楽しめる行事がたくさん!
- 中学校にあたるMiddle Schoolは、High Schoolの準備期間!自主性を高める大切な3年間
- 義務教育最後のHigh Schoolは4年間。大学進学を前提に慎重な科目選択を!
- 義務教育課程への編入手続きは下調べが大切。希望の学校があるなら手続き前に確認!
ドラマや映画で見る学生たちが大人っぽいのも、早い時期から自主性を求める義務教育を受けてきたからなのかもしれません。
移住先の学校へお子さんを編入させる予定のある親御さんは、ぜひ参考にしてみてくださいね!
↓↓海外移住シリーズ↓↓
(他にもk through 12, k to 12:ケースルートゥエルブ、ケートゥートゥエルブという呼び方も)
小学校1年目を1st grade、6年目は 6th grade、最終年度は 12th grade という感じです。
また、優秀な子を「飛び級」させることも珍しくありません。